深海底まで
鯨のように潜る
(Fauna of whale falls)
何も残らぬように
光も届かぬところ
シルクの泥
静謐と分解
五蘊を照らし見れば
深層の海流に満ちて
瞬きの如き二千年のうちに
この世の果てまでも巡る
湧き上がりて富となり
沈みては祈りとなる
始生代の無生物
酸の海より生まれしもの
百年の眠りのおわりに
千年の龍宮に至れ
深海底まで
(Fauna of whale falls)
鯨のように沈め
龍涎香よりも
なお高貴な薫りを聴いて
湧き上がりて富となり
沈みては祈りとなる
完新世の有機物
塩の海を旅せしもの
五蘊を照らし見れば
深層の海流に満ちて
瞬きの如き二千年のうちに
最果ての龍宮に流れ着く
はしがき
海の近くに滞在したときに、勢いで書いた歌詞です。
勢いで書いたので、どんな曲をつけたらいいのか全くわからないままです。誰か助けて。
ところで私は鯨が好きです。賢くて可愛くておいしくて、素敵な生き物です。
以前、知人が海辺で拾った鯨の化石を譲ってくれたことがありました。手に馴染む大きさで、考え事をするときなど、よく握りこんでいます。
かつて海を泳いでいた巨大な生き物が、今は私の掌中におさまっているというのは、なんだか不思議な気分です。
六畳間の私の書斎を、鯨が泳ぐ空想をして、しばしば現実逃避をしています。

